北の大地は、熱く燃えていた。 冬ともなれば、吐く息が凍り、バナナで釘すら打てると言われる極寒の地、北海道。 この厳しい自然環境故か、それとも、雄大な大地故か、この大地に生きる人々は、熱い。 クラーク博士の例を見るまでもなく、この地は常に日本という国の最先端を行くもの達が集う。 そこが、北海道である。 その北海道・札幌市。都市の中心街にあるさして大きくないオフィスに、その男はいた。 でかい、男だった。 巌のような肩は、見上げるほどの位置にそびえ立ち、 濃紺の羽織から突き出た腕は、子供の胴回りほどもあろう。 特大の下駄は、まな板ほどの大きさ、 わずかに吊り上がった太い唇は大人でも一呑みにできそうだ。 腕も、足も、顔も、体も、人間そのものまでもがでかい。そんな、男だった。 『――このような次第でして。ええ、是非とも社長の御助力を……』 その、大きな手の中にある黒電話の受話器。そこから聞こえてくる声は、間違いなくアボガドパワーズのクリエイター、大槻涼樹のものである。僅かにうわずった声は、先程の高橋、青紫との出会いの興奮が覚めやらぬ証拠か。 『これも、天佑と言うものなのでしょうか。我々の立ち上げたクリエーターユニット、リューノス。Leafの内紛。偶然と言うにはあまりにも都合のいい出会い。そして、あなたの存在…………。シンクロニティの存在を信じたくもなりますよ』 感慨深げに大槻は言う。これが、運命と言う物であるのなら、それに殉じるのも悪くない。そう言っているかのようだった。 『それでは、私は取材の続きがありますので、この辺で。……いい返事を期待しております』 慇懃に礼をし、大槻は電話を切った。電話を受けた姿勢のまま、彼はしばし佇んでいたが、おもむろに黒電話を回す。 『はい、アボガドパワーズですが……』 「ワシがオーサリングヘヴン社長! 日高真一である!!」 ――――矢は、放たれたのである。次を読む
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