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■粛清編から■〜leaf vs key リレー仮想戦記 粛清編から■

「…どういうことだ?」 
 さっき折戸の吐いた言葉を、麻枝は憎しみを込めて呟く。 
「……」 
 その麻枝の問いに、折戸は沈黙を保ったままだった。 

「…だめ。ウィルスバスターに引っかからない新種みたい…。あっさりサーバー
 に侵入されてたわ。急いで電源を落としたけど…既に半分くらいウィルスに感
 染していて、使い物にならないわ…」 
 いたるは悔しそうにサーバーのPCのディスプレイを見つめながら口を鳴らす。 

「ええっ!じ、じゃあオレの書いたシナリオはどうなって…?」 
 新しくKeyへと参画したイシカワタカシが、不安げな声を挙げた。 
「残念だけど、殆どウィルスに喰われているわ。テキストデータなのに、文字化
 けして見れやしない…」 
「そんなぁ…。せっかく書いたのに…」 
 弱々しいイシカワの声に、麻枝の冷たい言葉が響く。 
「弱音を吐くな。消えたなら書き直す。ただそれだけだろう?」 
「しかし…」 
「それが嫌なら、さっさと荷物をまとめてここから出て行くんだな。書けない奴
 は、うちには必要ない」 
 麻枝の言葉に、イシカワはただ沈黙するしかほか無かった。 

「しょうがないわね…。また原画から取り込み始めるしかないわね。やるわよ、
 しのり〜」 
「う、うん。わかった」 
 ウィルスに侵されたファイルを消し去り、ため息混じりに席へと戻るいたる。 

 折戸と麻枝は、鮮やかな真紅に染まったディスプレイを見つめていた。 
「…所詮、こういう事だよ。いくら親友とはいえ、会社は裏切れない」 
「…かな…」 
「ん?」 
「…バカな…。あいつに限って、こんな事を…!」 
「いい加減、目を覚ませよ。馴れ合いで生きていけれるほどこの世界、甘くはな
 い。それはお前が一番知ってるはずだろう?」 
「……」 
「…リーフの奴ら…。手の込んだことしやがって…」 
 麻枝はそう呟き、席へと戻る。 

「折戸…」 
 1人心配げに、背後から久弥が声をかける。 
「…悪い。1人に…してくれないか」 
 折戸の弱々しい声に、久弥はこれ以上かける言葉を失い、仕方なく席へと戻った。 
 折戸はしばらく、その血の様な真紅のディスプレイを見つめながら呟く。 
「…どうしてなんだ…」 

真相も解らぬまま、波乱の刻(とき)は流れていく。 
川が流れ、季節が巡るが如く、ごく当たり前のように。 

よもやの所で、最悪の事態は免れたものの、最新作である「AIR」のデータの5
割ほどを失い、その復旧と穴埋めに発売延期という不名誉を曝すこととなったKey。 

高橋の仕掛けた策が、思いも寄らぬ方向へと導かれて、より優位な位置を保つこと
となるLeaf。 
しかし、その戦いはまだ、波乱と血生臭い闘争を浮き彫りにさせたに過ぎなかった。
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